クラウドサービスエンジニア Cloud Service Engineer
2018年キャリア入社 湯川 勇太
私は大手SIerからの転職です。前職では10年ほど在籍しましたが、その大半は某家電量販店のお客様の開発案件に携わりました。最初はアーキテクトとして参加し、じきにPM(プロジェクトマネージャ)を任され、8年に渡ってECサイトの構築などを指揮しました。長年おつきあいするうちにお客様からの信頼も厚くなり、私の思う通りにシステムを企画開発できる環境だったのですが、次第に自分のスキルがそのお客様だけに最適化されているのではないかという問題意識を抱くようになりました。また、そのお客様はIT投資の予算が限られていたため、新技術を導入するのが難しい状況でした。このままでは自分のキャリアが頭打ちになると危機感を覚え、違う世界も知りたいとNRIも含めてさまざまな企業とコンタクトをとって転職活動を始めました。
NRIに対しては当初、実はあまり良い印象を持っていませんでした。人を動かす能力に長けたPMが中心の企業で、私のような技術志向の人間はきっとフィットしないと思っていたのです。しかし、面接でお会いした面接官にとてもインパクトを受けて、NRIへの興味が一気に湧きました。当時のサービス・産業ソリューション事業の本部長との面接だったのですが、すでにマネジメント職であるにも関わらず技術にもビジネスにも精通し、思考が非常に明晰で、私が抱いていたNRIのイメージとはかけ離れた方でした。ぜひこの人のもとでキャリアを積みたいとNRIへの転職を志望したのです。
入社後は希望通り、私が尊敬の念を抱いた本部長が率いる事業部に配属され、高度な技術力が要求される大手製造業の案件にアサインされました。少数精鋭で各自が裁量を持って開発を進めていくプロジェクトに関わり、1年半ほど経った頃、その本部長から直々に指名を受けて、大手運輸業の新規のプロジェクトに参加しました。NRIにとっても屈指の大規模かつ高難度の案件で、私が見込まれてチャンスを与えてもらったのです。
このお客様は全国規模で宅配事業を展開しており、集荷・配送される全荷物の情報を集中管理するシステムを刷新するとともに、EC向けに新たに起ち上げた受け取り方法指定サービスの仕組みを構築し、これらをパブリッククラウド上に展開することが私たちに課せられたミッションでした。
そのお客様はこれまで大規模システムでパブリッククラウドを活用したことがなく、先方社内のIT部門の方も知見がなかったため、私が主導して根本となる方針を定めることになりました。膨大なデータ量でも処理できる仕組みを考え、そのお客様がクラウドを活用する上での標準パターンを整備して各プロジェクトに展開。そして、プロジェクトの中で発生する個別の技術的課題に関しては、私がその解決方法を考えてお客様に承認していただき、横展開していく。これほど大規模な開発案件に関わるのは私にとって初めての経験であり、思っていた以上に細かいところまで突き詰めて現場に展開しないとプロジェクトが動かないことに、当初は愕然としました。想定外の状況にとまどい、しばらく試行錯誤を繰り返していたものの、関係者から情報を集め、整理・分析していくうちに全体を理解し、頭のなかの霧が晴れていくような感覚があり、その時はブレイクスルーした思いでした。
いま関わっている大手運輸業のプロジェクトは、普通のSIerならリスクが大きく、おそらく手がけるのに躊躇するような案件だと思います。それをNRIが成し遂げられるのは、どんな難題に直面しようと逃げずにやり遂げる、そんな姿勢が会社全体に根づいているからです。たとえリスクがあっても、その本質をお客様にきちんと説き、泥臭く折衝を重ねて解決に導いていく。NRIがここまでやり切るマインドを備えていることに正直驚きましたし、それがお客様からの信頼にも繋がっている。このプロジェクトでも、すでにお客様が導入を決定されていた製品に技術的に懸念される点があり、エンジニアとしての良心から問題を提起したところ、その内容が評価されて受け入れていただきました。ここまでお客様に影響を与えられるポジションで力をふるえるのは、NRIならではの醍醐味だと感じています。
現在、このプロジェクトは順調に運んでおり、今後もデジタル化による物流革新を図るための新たなシステムを続々とリリースしていく予定です。ここまで大規模で、かつ社会のインフラとなるシステムをクラウド上に展開しているのは国内でもあまり例がなく、最先端の事例としてクラウドベンダーからも多大な支援を得ています。通常なら触れることのできない深いレベルでの技術情報も手に入る。クラウドに関して国内でトップレベルの知見を培っている実感があり、今後はそれを他のお客様にも適用して新たな案件を開拓し、NRIの事業成長にも貢献していきたいと思っています。
そして、NRIで得たキャリアを強みにして、私自身の「価値」も大いに高めていきたいと思っています。
※内容はインタビュー当時のものです。