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集中力を高める環境づくりに込められたこだわりの数々。コンセントレーションエリアの仕掛け人に聞いてみました。

様々な切り口でNRIグループの魅力をお伝えするインタビュー企画「Spotlight」

コンセントレーションエリア開設

野村総合研究所のキャリア採用サイト「NRI career」をご覧いただきありがとうございます。「Spotlight」は様々な切り口で人や仕事、事業に光を当て、NRIグループの魅力をお伝えしていくシリーズです。

3月1日、NRIの大手町本社の一角に「コンセントレーションエリア」がオープンしました。
全体的に照明が暗めに抑えられており、発想思考エリアと集中特化エリアの大きく二つのエリアに分かれています。発想思考エリアはシェアスペース、集中特化エリアは個別ブースとなっており、どちらも34インチウルトラワイドモニターが備え付けられ、それぞれに合った環境音楽が流れる、素敵な作業エリアとなっています。
このエリアを利用する度に、これはかなり考え抜かれた環境なのではないかと思い、企画した総務企画課の白石さんに、お話を聞いてみました。
これまでのキャリアから、企画に込められた工夫や仕事に対する想いまでを伺ってみて、プロフェッショナルを支えるオフィスづくりの陰には、またひとりのプロフェッショナルがいることがわかりました。

これまでのキャリアについて

───今日はよろしくお願いいたします。白石さんの前職は電力会社の建築技術者とのことですが、これまでどんなキャリアを歩んでこられたのですか?

変電所など供給側の施設の構築や保守点検などをしていました。元々オフィス関係のことにも興味があり、事務所の改修などもしていましたが、インフラ会社にはよくあることですが、働く場所にお金をかけることはあまりなかったので、基本的には電力設備の保守が中心でした。それでも10数年経験を積み、ようやくオフィス関係の仕事に関われそうだったのですが、そのタイミングで、震災が発生し状況が一変してしまい、オフィスの環境改善など働く場所に対する予算はゼロになりました。それがきっかけで、じゃあ思い切って転職しよう、となり、縁あって2012年にNRIに入社しました。入社後はファシリティマネージャーとしてオフィスづくりに関わってきました。

───なぜNRIに入社しようと思ったのですか?

次は人が資源の会社に行きたいと、漠然と思っていました。当初は特にこだわりはなかったのですが、相談していた転職エージェントから、これまでのキャリアを活かして、建築専門ではなくなるが総務系のファシリティマネージャーとかいいのでは?といった提案をしてくれて。結果的に今の道が開けましたね。

───もともとオフィスなど働く場所を作ることに対して興味があったのですか?

そうですね。やっぱりそこで働く人がいるので、いろいろレスポンスがあるじゃないですか。
機械と違って人は文句を言いますが(笑)、感謝されるとやはり嬉しいですし、自分のモチベーションでもあるので、人が働く場所を作りたいなっていうのはありましたね。

NRIで印象に残った仕事とは

───NRIに入社されてから10年以上経ちますが、印象に残っている仕事はありますか?

大手町本社の移転が2016年、横浜野村ビルの竣工が2017年だったのですが、それが一番プロジェクトとしては大きかったですね。オフィスの設計と発注と引っ越しに関わりました。当時はワークプレイスサービスに在籍していましたので、総務が企画したものをコスト面を踏まえてどう実現していくか、といったことを担当していました。

直近では、リモートワークや要員増加の下振れによって増えていた余剰なフロアの減床を行ってきました。将来的に必要となるであろうスペースを確保してきた今までのオフィス政策とは異なり、未使用のフロアを返却していくという、おそらくNRIの中では初めてとなる移転でした。実現にあたってやはり現場の方からは席が足りなくなったらどうするのか?といった不安の声もありましたので、出社率の想定や現状利用席数などを細かく計算し、各事業部に一定の余裕は確保していることを説明していきました。苦労という点では一番記憶に残っていますね。

コンセントレーションエリアについて

薄暗いモードチェンジゾーン(画像左)とシェアスペースとなっている発想思考エリア(画像右上・右下)

───3月1日にオープンされたコンセントレーションエリア、実はその日に見学したのですが、入った時に最初にすごいと思ったのは、モードチェンジのゾーンでした。あの薄暗い通路を抜けて入室することで集中モードに切り替える、という仕掛けに純粋に驚きました。このエリアを企画するにあたり、どんなことを考えられていたのですか?

私が個人的には大切にしているのはユーザーが最大のパフォーマンスを上げるためにはどうあるべきか、ストレスを感じないためにはどうあるべきか、ということです。

この図はコンセントレーションエリアを作ったときのコンセプトになります。集中しやすくするにはどういう椅子がいいのか、音環境はどうあるべきか、モードチェンジもこの中にありますが、こういうコンセプトに基づいてこの環境を作っていこうというのを最初に決めました。
社内の人間だけで考えると限界もあるので、外部の方にも設計の段階から入っていただき、ユーザーが一番集中できる環境をどうやって作るか議論を重ねてまとめました。

最終的に、フレグランスだけは化学物質アレルギーや匂いの好き嫌いを考慮して見送りましたが、それ以外は取り入れています。
ちなみに、サウンドについては役得でサンプルの音源をもらったので、在宅ワークの時にかけてるんです(笑)
あの音楽、実は作ってもらってるんですよ。

───えー、すごい!あの場所に合わせて作られた音楽なんですか?

はい。場所とか環境に合った音楽を作る方にお願いしました。実は今までこういう音楽では失敗していたんです。よくある川のせせらぎとか森の鳥のさえずりとかそういうものが中心だったのですが、今ひとつでして。せっかくなら思い切りやってみようと。

───そもそもどんなきっかけがあってこのエリアを企画されたのですか?

シェアスペース利用者によるアンケートがきっかけです。こうしたシェアスペースに何を求めているか、ということを調査すると、テンポラリー利用と集中作業へのニーズが高いことがわかったので、それに応える形で今までなかったのを作ろう、となりました。とはいえこうしたアンケートの声というのは恣意的に拾おうと思えばいくらでもできてしまいます。声が大きな少数意見だけに左右されないよう、色々な軸で社員の声を聞いていかなければならないということが、非常に難しいところでもあり、仕事の面白みでもあります。

───ユーザーの声を軸に企画を進めていくのですね。テーマが決まったあと、実際どこにどんなものを作っていくか、ということはどう考えているのですか?

そうですね。他社のファシリティマネージャーの方々との繋がりがあり、毎月懇談会のようなことがあるのですが、そのつながりでオフィスを見学させてもらったりディスカッションしたりすることでインスピレーションを得ています。やはり同じ立場で仕事をしている人からの情報は参考になりますね。
例えば先ほどのモードチェンジの仕掛けについても、他社のオフィスを見学した際にインスピレーションを受けました。そこはディスカッションルームがあったのですが、そこに行くまでにもともと無駄な通路があって、そこをモードチェンジのエリアにしていました。私もそこで初めてそういった仕掛けに出会い、すごいな!となりました。
このような感じで常に情報は集めていて、企画の際にそれらのパーツを引き出して合いそうなものを組み立てていく感じですね。

───いろいろな繋がりを活用されているんですね。コンセントレーションエリアの中で、白石さんがこだわった推しポイントはありますか?

企画においては五感を重視していましたが、先ほどお話したBGMに加えて、今回照度にもこだわりました。執務室を暗くするって実はなかなかハードルが高いんです。なぜわざわざ暗くするのか、といった声はどうしても上がってきますので、照度と集中力の関係性などエビデンスとなるような文献を用いたりして説明をしていきました。

集中特化のエリアとこだわりの照明たち。適度な暗さが集中力を高める。

───いろんな意見に対して説明をしていくのは大変そうですね

そうですね。もちろん意見を聞くことは大事なのですが、なにより自分で決めたことを曲げない、というのも大切だと思っています。
電力会社に勤めていた時に外壁の色決め業務がよくありました。上司の決裁を順々に取っていくのですが、結局色って個人の好みによるところが多く、世の中の色を全部混ぜるとグレーになるように、多くの人の意見を聞くほど無難な色になり、結局つまらないものになってしまいます。それから、色を理論的に説明しなきゃいけないんだなと色彩検定の資格をとったりしましたし、自分の想いや変化を実現するためにはそういう努力が必要なんだと強く感じました。その思いは今も根底にあると思います。

ハードの環境づくりからソフトの環境づくりへ

───最後の質問ですが、今後挑戦していきたいことや、変えていきたいと思われていることはありますか?

ユーザーのパフォーマンスを最大限に高めたいとの思いは変わりありません。最近は、エンゲージメントの強化、コミュニケーションの質の向上などソフト面での取り組みも重要だと考えています。これまでスペースとしては一定水準のオフィスを提供できていると思っています。

次にどうやってコミュニケーションの質を高めるのか。総務だけではなく人事部や事業本部も巻き込んでソフト面での場づくりにも取り組みたいなと思っています。先月試験的に実施したんですが、業務後ビールをカフェで配布して対面コミュニケーションを誘発する、そんなベタな仕掛けでもいいと思っています。

よく外資系の方のお話を聞くのですが、ヨーロッパは国が地続きということもあり、企業の選択肢が多く、人材の争奪戦が激しいと聞きます。そのためオフィスで働くことの魅力をどうやって作り、どう採用に活かしていくか、ということにものすごく力を入れていて、人事と総務といった区切りがあまり無いような企業もあると聞きます。

今回キャリア採用向けとして、こうしたお話をさせてもらっていますが、この取り組みも人事と総務の垣根を超えた取り組みであると思います。まさにこういった組織の枠を超えて、外部の方に対するメッセージであったり、社内のコミュニケーションの場づくりであったり、オフィスというハードの要素がソフトに混ざっていければいいな、とそんなことを思っています。

────今回のインタビューが白石さんの想いを実現する一歩になれば嬉しいです。今日はありがとうございました!

writer:串間 淳
2007年より約5年間、販売促進の代理店で営業を務め、その後、大手人材サービス会社へ転職。約10年間、IT・コンサル業界のキャリア採用支援に関わったのち、2023年1月より野村総合研究所人事部のキャリア採用担当としてジョイン。採用ブランディングを主に担当しています。